逮捕されても前向きに生きるブログ~人生をやり直したい人たちへ~

児童買春で逮捕歴のある初老の冴えない爺さんが社会復帰に挑戦するブログ

逮捕の朝① ~突然の来客~

突然の来客は、本当に突然現れた。

 

その日はいつものように6時半に起きテレビ体操をしてシャワーを浴びた。本当に普段と全く変わらない、天気のよい朝だった。

 

普通逮捕に来るケースは7時くらいに自宅の呼び鈴が鳴るいわゆる早朝ピンポンなのだが、俺は当時自宅を離れ、他県にある、会社の寮に住んでいた。

 

俺は本当にいつも通りに出勤し、オフィスの自席に座り、仕事をしていた。パソコンに向かい、いつもの通り資料作成をしていた。

 

 

確か8時半くらいだったと思う。

 

上司から、「たかさん、ちょっといいですか」と呼ばれた。

ん、何だろう。特に呼び出しを受けるような失態をした覚えはないし……と思いながら、上司の後ろを歩いた。上司の足取りが妙に重く、歩がゆっくりであったことを覚えている。

 

応接室の前まできたとき上司は俺の方に振り返り、「警察の方がお話を聞きたいと…」と言う。

警察?   身に覚えはあるのだが(苦笑)、そのときはつい先日捕まった駐車違反の件かと思った。細かいことは割愛するが、駐車違反は反則金からは逃れられないが違反点数がつかない処理もあるようで、俺はそれを知らずちょっと派出所で揉めたことがあった。そのことかな、とふと思った。

 

応接室のドアを開けると、スーツを着た男が4人か5人いた。制服姿をイメージしていた俺は少し違和感を覚えた。瞬間、背の高いメガネをはめた男が俺の前に立つ。

 

「おはようございます、たかさん。●県警の▲と言います。たかさんさんですね。」

 

声なく頷く。●県警と聞いた時に心臓が強く鼓動を打った。

俺が援交した県、ピンと来た。

 

「児童買春の件でお話を伺いに来ました。覚えていらっしゃいますよね?」

 

もちろん、覚えている。

ただ、それに頷くだけの覚悟は俺にはまだなかった。

 

えっ、とだけ声を発し首を傾げる演技をする。おそらくだいぶぎごちなかった。

 

そんな対応をしているわずかの時間で、俺はどうやって罪から逃れようか必死に考えていた。

 

既に刑事の手元には逮捕状が握られていたことを知るのは、それから5分ほど後のことだった。