部屋に入り、椅子に腰縄を括って警官は後ろに下がった。
部屋の中には若めの男性検事と書記官である女性がいた。
この検事が嫌な奴だった。
逮捕事実を読み上げられ、それに基づいて俺の供述調書を作るのだが、俺の言った通りには書かない。
俺から聞き取ったことを文章にして検事が口頭で言い、それを女性の書記官が打ち込むのだが、例えば俺が援交の相手を「小柄な女性」と言っただけなのに「幼い体つき」という言葉を足したりするなど、いかにも18歳未満であることがわかっていたと決めつけるような言い方をする。
もちろんわかっていたのだが(苦笑)、まだ逃れられると思っていたので、そんなことは言っていない、と訂正を求めた。
するとこの検事、「あなたの細かいニュアンスをいちいち聞いているのではない、それでも訂正を求めるのか」と高圧的に聞いてきた。
俺は当番弁護士から、納得できないことは納得してはいけないし言ってもいないことを調書に書かれたらサインしてはいけない、と念を押されていた。
だから、言った通り書くよう訂正を求めた。
多分、俺の頑なな態度が気に入らなかったのだと思う。この後普通に勾留請求がなされることになる。
取り調べが終わり、牢屋に戻った。
同行の警官に「あんなことは言わない方がいいんですかね」と訪ねてみた。
警官は「そんなことはないよ。言ったらダメと言うことはないから」と優しく答えてくれた。
この後の流れを警官に聞いてみた。
1時間以上かかると思うがこの後勾留請求されるので、裁判所に行って質問を受けた後、また書類をここ(検察)にとりに戻る感じだから、警察署に戻るのは18時過ぎだろうね、とのことだった。
だが、待っても待っても何もない。
結局裁判所の都合で明日の午前中に勾留質問(裁判所が俺の言い分を聞き、勾留が妥当かどうかを判断するための質問)に行くことになった。
車に乗せられ外へ。
警察に戻ると再び大勢の出迎え、厳重な身体検査……
嫌になった。
既に夕食の時間は過ぎており、俺の分を特別に持ってきてくれた。
夕食はご飯、ハンバーグ、トンカツにキャベツの千切りだった。
ハンバーグとカツ半分、ご飯をほとんどいただいた。逮捕されてから初めての食事だった。
夜は消灯後しばらくぐるぐる回っていたのだが、疲れて寝てしまった。
身も心も疲れていたが、少しずつこの環境に慣れて来たのだろう。
長い1日だった。