薬をもらって俺は再び車椅子に乗り車に乗った。
帰りの車の中で運転をしていた女性警官が薬の飲み合わせのことを気にしてくれた。俺は別の病気もあったため、大丈夫かなと心配してくれたのだが、その心遣いが嬉しかった。
署に着き牢屋に戻ったのだが不安は募り発作が出そうになる。我慢を重ねたが1時間程で耐えられなくなり、外の空気を吸わせてほしいと依頼した。
いつも俺のことを気にかけてくれた若い警官がついてくれた。
発作大丈夫?と声をかけてくれた。
暫くして自分からその警官に声をかけていた。
「こういう犯罪って再犯率高いんですか?」
俺は逮捕されてすっかり自信をなくしていた。性犯罪は再犯率が高いということは前から聞いていて、俺はまた同じことを繰り返してしまうのかと自分で自分が分からなくなっていた。
俺はこの先一体どうなるんだろう。
俺はこのまま犯罪を重ねる人生を歩むのだろうか。
そんな不安が押し寄せ、自分よりも一回り以上も若い警官にそんなことを尋ねていた。
「こういうのは低いですね、盗みとかはまたやってしまう人もいますが…」
この警官も俺に敬語を遣ってくれた。
この話をきっかけに、気づけば俺はとつとつとこの警官に自分の身の上話をしていた。
僕はいつも女で失敗するんですよ、でも女がそばにいないと何かダメなんですよね、そんな話をした。
すると、警官は
「男はみんなそうですよ」
そう空に向かって呟いた。
俺はこの言葉が引き金になって涙が止まらなくなってしまった。
泣けて、泣けて、泣けた。
声をあげて嗚咽した。
この場所に来て、初めて泣けた。
正直ショックは受けたし、落ち込みもしたがどこか冷静で、どこか現実のように思えず、普通に生きている自分が嫌にはなるものの不思議と涙はこれまで出なかった。
親にも会社にも迷惑をかけたのに普通に生きてしまっている。死ねばいいのに。
警察の人も本当に親身になってくれる。
甘えるしかない自分が情けなくて、俺は本当においおいと泣いた。