俺を乗せたワゴン車は病院の裏へと回り救急入口の前についた。
その病院は普通の病院のため、当然一般の患者もいる。
車を降りようとすると手錠の上にカバーをかけられた。手錠を隠すためのものだ。
そして車の外には車椅子が用意され、俺はそれに乗るように言われた。
こんな犯罪者でも、周りの目が気にならないように最大限の気遣いをしてくれた。
逮捕された場所は俺には援交したという場所以外に縁もゆかりもない土地だったので、「大丈夫です、自分で歩きます。別に手錠を見られてもいいので…」と断ったのだが、気にせんでいいよ、と言われ車椅子に座るよう促された。
なるべく人の目につかないような場所を選びつつ、俺は診察室に連れられていった。
先生にはなるべく強い薬を出してほしいとお願いした。
発作が出て、何度も警官に外に連れていってもらわないといけないこと、こうやってわざわざ病院に連れてきてもらうこと、俺のために多くの人がうごき、俺なんかのためにつかわなくてもよい気をつかってくれる。
本当に申し訳なく、情けなかった。
別に俺の体はどうなってもいいので、とにかく発作が起きない迷惑をかけなくて済むようにしてくれと、先生に涙ながらに懇願した。
そんなわけにはいかない、ということで俺がこれまで飲んでいた薬と同じものを出してくれた。
俺は付添いの警官に何度も何度もすみません、と伝えた。
とにかく情けなかった。
迷惑をかける自分が情けなく、死にたくて仕方なかった。