話を聞いてくれた警官は、俺が落ち着くまで俺との距離を保ちながら黙ってそっとしておいてくれた。
泣いたことでスッキリしたのか発作も収まってきた。泣けた自分に少し落ち着けた。
「私も犯罪をおかす人ってどんなに怖い人かと思ってたんですけど、実際に警官になって犯罪者の方と接していると、普通の人と何も変わらないなって思いました。女の人に寄りかかっていないとダメなのは男はみんな一緒ですよ、きっと」
俺のこの日の記録にはこう書いてある。
「自分より遥かに若い人に助けてもらうのは情けないが、これから自分も自分にしか助けられない人を助けられる人になりたいと思う。介護の道もいいなと思った。」
病院に行く前にT刑事さんの取り調べがあったのだが、今思うと俺を病院に連れていく時間を作るために、午後の予定を無理に午前中にしてくれたのかもしれない。
いつも、優しく丁寧に、そして絶対に決めつけることなく俺の話を聞いてくれた。
俺は警察によって逮捕されたが、警察の方に救われたのも間違いなく事実だった。