若い時は怖いものなどなかった。
と言うより、世間知らすで何とかなる、いや何とかしてやると思えた。
それも先が見えないからこそだった。
将来どうなるかわからないというのは、不安よりも楽しみの方が多い。
俺がある程度将来を諦めだしたのは、40代半ば。
ブログにも書いた、今でも付き合いのある元部下の女の子が結婚した後だ。
俺はマンションを買った。
ワンルームにリフォームされたおしゃれな中古マンションは、手数料や買いそろえた家具家電なども含めれば1000万ほどの買い物だった。
もう結婚することはないな。
だったら安心して死ねる、死んで誰にも見つからなくても極力迷惑をかけないための家を持たないと。
もちろんローンを組んでの買い物だったが、当然のように万が一のために保険にも入った。
以降、俺は変化に滅法弱くなってしまった。
例えば今の職場での異動、一つ前の転職で県外に引っ越すことになったことなどなど、多分若かった時の俺なら何てことない、むしろ楽しみしかなかったのだが、今は不安で吐きそうになることが多い。
母が死ねば、俺は本当に一人きりだ。
自分のために生きるというのは、俺にとって難しい。
いい人ぶっているのではない。
今仕事に行くことに辛さを感じても頑張ろうと思えるのは、母のことを最期までしっかり看とりたいという思いがあるからだし、恩人である施設長に少しでと恩返ししたいと思うからだ。
俺一人になったら、どうなってもいいという感情の方が大きくなってしまいそうで、正直怖い。
認知症になったら、
またパニック障害など精神を病んだら、
命が限られるような病気になったら、
停年を迎えたら、
金がなくなるようなとんでもない失敗をしてしまったら、
まあ、不安など挙げたらきりはないし、なったときに悩めばよいのだが……
歳をとるということは、先がある程度見えてくるということ
そして楽しみな未来をつくる可能性が少しずつ削られるということ
未知を楽しめるのいうのは、まだ若い証拠だ。
体も心も重くなる日々が続く。
逮捕されたのも、そんな自分が生きていけるための力を神様がつけてくれるためだったのかな。
…… 何でも神様のせいにしたらあかんね笑