釈放後
俺は重い足取りで兄の部屋に向かった。 兄の部屋につくと、姉と二人でマックのようなものを食べていた。 俺が聞いた時は何も要らんと言ったくせにまた無駄な金を使って……と下らぬことに腹を立てていた。 俺は兄にここでは話したくない。 俺の部屋ならよい、…
スシローやはま寿司の例の事件、企業側が謝罪を受け入れず被害届を出すに至ったのは、対象が未成年とは言えあるべき姿だとは思う。 ただ、どこかかわいそうだと思うのはネットに個人情報が拡散され、顔写真まで掲載、複数のアフィリエイト狙いのニュース記事…
釈放された裁判所の事務受付の前のロビーで、俺と兄は大声こそ出しはしなかったが口喧嘩をしていた。 俺は大丈夫やから帰ってくれ、 兄はあかん、何するかわからんでついていく 埒が開かないと思い、少しでも早く会社の寮に向かいたかった俺は渋々承諾した。…
俺が逮捕され、介護の資格をとり、就職が決まってから暫くして父親が死んだ。 脳出血で倒れて10年以上寝たきり生活を送った上での往生だった。 その間、父親の介護をしていたのが母親だった。 俺の母親は昔かたぎというか、贅沢をしない人だ。 ご飯と納豆が…
俺の血の繋がらない姉、戸籍上も姉である。 もともとは兄と兄の嫁、つまり義姉の共通の友達だった。 俺はもう実家を出ていたが、かなり実家が家計的に苦しかった。 兄はその時から癌を患い働けず、嫁は無能なくせにプライドが高く、どこに勤めても喧嘩してす…
兄とはもともと仲が悪かったわけではない。 優しい兄だった。 俺の実家の裏には大きな川が流れている。 小学生のとき、屋根にボールを投げ上げて、落ちてくるボールをキャッチしながら一人で遊んでいた時だ。 ボールの落下点がずれ、転々と転がったボールは…
暫くソファーに腰掛けていると、玄関先からN先生の姿が見えた。 その後ろに二人の姿が見えた。 俺の兄と、血の繋がらない姉だった。 この血の繋がらない姉との関係は話せばそれこそ長くなる。 でも、書き残しておきたいとは思うので、それは別の機会にしてお…