スシローやはま寿司の例の事件、企業側が謝罪を受け入れず被害届を出すに至ったのは、対象が未成年とは言えあるべき姿だとは思う。
ただ、どこかかわいそうだと思うのはネットに個人情報が拡散され、顔写真まで掲載、複数のアフィリエイト狙いのニュース記事が乱立している点だ。
自業自得だが、これだけでもかなり社会的制裁を受けているとも思う。
この事件で思い出したのだが、俺は会社の上司に電話した後、知人に電話をかけていた。
以前管理職をしていた頃の部下二人だ。
一人は仕事は出来ないが人間的な大きさやかわいさから仕事抜きで付き合っていた男。
俺は勾留中、何とか再就職するためにその以前勤めていた会社に戻れないか、当時の上司に頭を下げて、まずはバイトからでも雇ってもらえないか確認しようと思っていた。
実はこの上司の不正の弱みも俺は立場上握っていて、それをネタにして無理くりにでも雇ってもらおうとすら考えていた。
LINEを送ったが、ちょうどこの日に子どもが生まれたらしく、今は無理とのことだった。
その後深夜、前回書いた兄との話の後でわざわざ電話をかけてきてくれた。
部下は俺の逮捕のことを知っていた。
俺から連絡があったことを上司に伝えると、やんわりと付き合うのを辞めたら、みたいなことを言われたそうだが、何か自分が気持ちが悪く、電話をかけてきてくれたそうだ。
俺の逮捕の件は、新聞やテレビで報道されたことで、俺の以前勤めていた会社の支社の連中が知ることとなり(まあまあの管理職だったので地元ではない、他県でも俺の存在は知られてはいた)、まあまあの騒ぎになったそうだ。
その支社から俺の勤めていた会社に噂がいき、遂には本社まで知ることになったらしい。
そのことで、顧客から電話が元職場に入ったらしく、本社の人間がわざわざ元職場に入って対応したらしかった。
俺の事件は、俺の地元では報道はなかったものの、元職場の人間は全て知るところのなっていたのだ。
それを聞いて、俺は膝から崩れ落ちた。
ダメだ、戻れない。
仮に上司を脅して再就職したところで、俺はどの面を下げてそこで働けばいいのだ。
元部下たちが俺を蔑む目で見る中で、どうやって働けばよいのか。
無理だった。
また地元に帰ったら連絡すると伝え、その場は電話を切った。
もう一人、これもその職場の部下だが、20ほど下の女の子。いわゆる大人の付き合いをしていた。(まあ俺は本気で好きだったのだか…)
その子は俺が元職場にいたときに既に退職していたのだが、その後も大人の関係抜きでいいお付き合いをさせてもらっていた。もう相手は結婚していたが、今でもお互いに好き同士だと俺は勝手に思っている苦笑
彼女はすぐに電話に出た。
どうしたの、と聞かれ俺は逮捕された事実を伝えた。
驚いてはいたが、俺をバカにしたり軽蔑したりすることなく、話を聞いてくれた。
孤独だったので、かなり救われた。
彼女に頼んだのは、地元の新聞に俺の事件が報道されているか調べてほしいということだった。
俺が援交した都道府県、俺の会社のあった都道府県ではテレビ、新聞とも割と大々的に報道されていたのは弁護士を通じて知っていた。
ただ、地元はどうなのか知りたかった。
地元の人が知らなければ、俺は元職場に復帰できる、そう考えたのだ。(話の順番は逆になったが、俺の逮捕の件が口コミで広がっていたのは先に書いた通りである)
彼女のうちでは新聞を取っておらず、わざわざ図書館にいって調べてくれ、俺に連絡をくれた。
俺の逮捕の日以降数日の新聞を隈無く見たが載っていないと。
俺はかなりほっとした。
改めて会うことを約束し、感謝を伝えて電話を切った。
その後ネットでエゴサーチしてみた。
すると、俺の逮捕記事が出るわ出るわ、いわゆる報道関係はもちろん、アフィリエイト狙いのニュース記事もスシロー事件ほどではないが複数立ち、5ちゃんに爆サイの掲示板にはわざわざスレが複数たち事件が転載され、誹謗中傷の書き込みが並び、ツイッターにも出ていた。
その中に、俺の顔写真がバッチリ載っているサイトがあった。
俺の事件はニュースも新聞も顔写真までは出ていなかったのだが、当時やっていたFacebookの写真をわざわざテレビニュースをスキャンした画面に貼り付けた画像が出てきたのだった。
これにはかなりショックを受けた。
名前だけなら同姓同名とシラを切り続けることもできなくないが、さすがに顔写真は……
もちろん援交で逮捕される人間などごまんととおり、そんな人の顔や名前などいちいち世の中の人は覚えているほど暇ではないのだが、さすがにネットを叩けばそれらが出てくる状況は非常に辛かった。
おそらくそれに苦しんでいる人もいると思うので、そのことについては改めて記事にしようと思う。
逮捕されたことでこれまでの人間関係は全てリセットとなるだろうなとは思っていたが、一部の信頼できる人間にだけ打ち明けようと思っていた逮捕が、結構多くの人が認識していると知ったのは俺を絶望させるのに十分だった。
でも、部下二人が俺が犯罪者にもかかわらず普通に話してくれたこと、そして今でも変わらない付き合いをしてくれていることは本当にありがたかった。
こういうときに、真の友人というのは分かる。
ちなみに俺が人生をかけて尽くしたと言ってもいい元上司は、全く連絡がなかった。
転職サイトに名前こそ書かなかったが、不正をしていて会社はそれを見抜けていない、なんてことを後日ぼんやりと書き込んだ。
当時は裏切られた、仕返しだなんて思っていたが、正直、今では後悔している。
憎しみの感情は、やはり良いものを生み出すことはない。
その人間とは関わらなければいいだけだし、その元上司のおかげで俺は出世出来たのも事実だ。おまけに彼女とくっつけてくれたのもその上司だ。
もう仲良くしようとは思わないが、感謝はすべき人だと思う。
またそのことは記事にしようかな。
逮捕されると、そこまで築いてきた人間関係、信頼関係のほとんどは壊れる。
それはかなりの痛手だし、たくさん失うものがある中で、かなりの大きなウェイトを占めることに違いない。
一時の快楽と引き換えにするには、あまりに代償が大きすぎるのだ。
まあ、今だからこそそれが分かる、というか、そんなこと体験しなくても想像できるはずなのに、俺は一時の快楽をとったわけで……
だからこそ伝えたい。
今児童買春している人、絶対に絶対に止めておこう!