恥ずかしながら俺が童貞を捨てたのは20歳の時、ソープでだった。
とある町の風俗街をドキドキしながら歩いていた。
当時車は持っていなかったので、たくさん店が並んでいる中を、俺一人うろうろ行ったり来たりしていたのを覚えている。
そこで風俗を覚えた俺は、ソープ、ヘルス、性感マッサージと様々な業態の店を経験していた。と言っても、半年に1度くらいだったが。
一人、どうしても忘れない風俗嬢がいる。
真帆と会ったのは、ミレニアムの時だった。
俺は教員として10年選手を迎え、教育委員会の推薦を受け、僻地に派遣されることになった。ちょっとした出世だ。
俺はそこで、女子生徒から総スカンを食らった。
閉鎖的な空間で俺は出来る教員として権力を振りかざし、完全に嫌われてしまった。
俺はそこで精神的に病んだ。
毎日下痢が止まらず、教室に行くのも気が重くなった。
食欲もなく、かなり痩せた。
誰にも相談できず、俺は一人苦しんだ。
消えたいと思った。
それくらいプライドがズタズタに傷つけられた。
精神的にも肉体的にも限界になり、俺は精神科に飛び込んだ。
下痢が止まらない、辛い、死にたい。
俺なんか何の役にも立たない。
医師は薬を処方してくれ、定期的にカウンセリングを受けた。
しかし、一向によくならなかった。
もうどうしようもなくなり、眠れぬ夜を明かした後、俺は教員を辞めることを決意した。
その時、久しぶりに食べた梅おにぎりが本当に美味しく感じ、俺はこんなに苦しんでいたのかと実感した。肩の荷がすっと降りた気がした。
翌日、校長に話に行った。
精神科に通っていることを初めて明かし、自信がなく辞めたいと話した。
校長は俺との話の後、俺の主治医に連絡し状況をいろいろ聞いたらしい。
結果的に、俺は診断書を出してもらい、鬱病で半年間休職することになった。
俺は赴任地を離れ、実家に帰ることになった。
夢破れ実家に帰り、何もすることがない毎日を過ごした。
何もやる気が起きなかった。
その頃出来たばかりの漫画喫茶に車で1時間弱かけて通い、ジュースを飲みながら漫画を読んでボーッとする毎日を過ごした。
少しずつではあるが元気を取り戻し、食欲も普通に戻ってきた。
と同時に性欲もそれなりに戻った。
俺は気分晴らしにソープに行くことにした。
当時高級店は生で出来るという知識はあったが、さすがに10万弱のお金を性欲解消のために使うのは馬鹿げているし、そこまで金銭感覚も狂っていなかった。パチンコもまだしていなかった頃だ。
そしてやはり病気も怖かった。
どうせ行くなら高級店に行くか。
どのみち俺は病気なんや。
死んだって構わない。
風俗誌を買ってきていろんな店の写真を眺めながら、どの子にしようか考えていた。
ゴルフウェアに身をつつんだ写真が妙に気になった。
この子かわいいな。
これが直接ではないが真帆との初めての出会いだった。
(つづく)