一度目の自殺未遂をした時、既に真帆に会えなくなっていたのか、それとも店に通っていたのかはよく覚えていない。
真帆とは会えなくなってからもメールや電話では繋がっていた。
真帆がなぜ店に出なくなったのかはよくわからないし覚えていない。
前にも書いたが、おそらくその時期に真帆はソープ嬢からフロントに入っている。
多分マネージャーと結婚し、一緒に店を経営する立場になっていたのだと思う。
なぜそう思うのかは追々書いていこうと思うが、当時の俺はそんなことは知らなかった。
真帆に会えなくなった俺は、メールなどでもう一度会いたいということを伝えていたが、返事もなしのつぶてだったように思う。
そして、いつかDOCOMOの携帯メールアドレスも変わってしまい、メールが届かなくなった。
電話をしても通じない。着信拒否をされていたのだと思う。
会いたいのに会えない。
声を聞きたいのに聞けない。
俺はここから遂に暴走し始める。
お店のホームページには掲示板があり、客も自由に書き込むことが出来た。
まず俺はそこに粘着した。
あえて店の源氏名ではなく、当時は本名だと信じ込んでいた吉川真帆の名前を書き、どこに行ったんだ、連絡しろとか、真帆に聞いていた店の裏話を書き込んだりしていた。
もちろんそんな書き込みは確認され次第すぐに削除されてしまうのだが、懲りずに何度も書いた。
そして、真帆の店の寮になっていると聞いていたアパートがあった。部屋までは分からなかったが、そこの玄関に、真帆のAVのパッケージをコピーしたものを貼った。
真帆はAV嬢でもあった。
実はソープ街の共通サイトにこの姫はAVに出ていたという書き込みがあり、俺は直接真帆に確かめたことがある。
真帆は否定した。
俺はそれを聞いて、サイトの管理者に事実無根のことが書かれているから削除してほしいと依頼し、削除さてもらったこともある。
ただ、当時の2ちゃんねるにも同様の書き込みが改めて為されていて、そこにAV嬢の名前が書かれていた。
ネットで検索すると、そこに出ていた画像は真帆そのものだった。
俺は個室ビデオに行き、そのAVタイトルを検索した。
あった。
それを借り、個室で見た。
紛いなく、真帆だった。
真帆はAVにまで出ていたのか。
俺はそのビデオを買い取った。
真帆がAVに出ていたという事実を消したかったのだ。
もちろんたったひとつの店のたった1本のビデオを俺が買い取ったところで真帆がAVに出ていた事実を消し去ることなど出来ない。
でも、俺はAVにまで出て生きてきた真帆が憐れで、不憫で仕方なかった。
ソープ嬢であり、AV嬢ではある真帆も、俺にとってはかわいい普通の女の子で、今ボロボロの俺を支えてくれる大切な人だった。
何とか守ってやりたかった。
それなのに、俺は掲示板に悪口を書き、悪態をついた。
そればかりではない。
読者のみなさんは引くかも知れないが、鳴海ちゃんの章でも俺の異常さはある程度分かっていただけていると思うので、正直に吐露したいと思う。
(つづく)