逮捕されても前向きに生きるブログ~人生をやり直したい人たちへ~

児童買春で逮捕歴のある初老の冴えない爺さんが社会復帰に挑戦するブログ

逮捕の朝⑤ ~高速での会話~

俺の隣に座った刑事は、

「本当は署についてから聞くんだけど、今いろいろ教えてもらっていいですか」

と俺に聞いてきた。

 

家族構成、本籍、住所、これまでの仕事歴、貯金額などなど。

そんなこと一体何の関係があるんだ、というようなことも聞かれた。(後々そういうことを聞かれた意味がわかるのだが)

 

俺を乗せた車は、高速に乗った。

俺が援交をした場所は、俺の勤め先とは違う県だった。

そこまで連れていかれるようだ。

 

本当に天気のよい日だ。

 

まるで夢の中のようだ。

 

俺は逮捕された現実がどうにも現実に感じられず、文字通りぼーっとしていた。

悪い夢を見ているような気がして、漫画のように自分の頬をつねったりしてみた。

普通に痛かった。

 

それでも現実だとはどうにも思えず、俺、今起きてるよな、これって本当なんだよな、でもこの前よく似た夢見てたしな……なんて、そんなことをずっと考えていた。

 

俺は逮捕された。

ただ、冷たい手錠を目にしても、その温度を手に感じても、どうしても現実だと信じられなかった。

 

夢を見たときから、何となくこうなることは予想はしていた。

でも、信じられなかった。

 

天気は透き通る青空だったのに、目の前に深いもやが立ち込めたような気分のまま、いつしか車は警察署に着いたのだった。