記録に残っていないので、多分という記憶なのだが、二日目の午前中、つまり送検される前に行われていたことがあった。
もろもろのデータ取りだ。
写真撮影、指紋採取、DNA採取だった。
写真は全体、顔、横などさまざまな角度から執拗に撮られた。
たまに脱走犯がテレビニュースに写真を公開されるときがあるが、あの写真はおそらくこの勾留されてすぐの写真だ。
本当に人相が悪いが、それもわかる。
いろいろ注文をつけられながらしつこく写真を撮られるのはあまり気分のいいものではない。しかも逮捕されてすぐ。いい顔になるはずがない。
そして指紋。スキャナーのような機械にこれも執拗に5本の指それぞれ、手の平全体左右の手ともとられる。
そして、柄のついたスポンジを口に含み、唾液を吸わせる。それでDNAを採取するそうだ。
それらのデータは過去の未解決の犯罪と照らし合わせるそうだ。
特に指紋を細かく採取されている際、俺は改めて犯罪者なんだと思えたのを覚えている。
俺のデータは今、警察署に写真付きでちゃんとある。
そして、性犯罪が起きる度に俺のデータと照合されるのだろう。
本当に惨めで、悔しくて、情けない。