裁判所から帰るとすぐ昼食だった。
ご飯、豚の生姜焼き、メンマというメニュー。
ご飯は少し残したが、ほぼ全部食べられるようになっていた。
昼からは取り調べがあった。
俺の担当はT刑事さん、本当にいい人だった。
取り調べというと高圧的な感じを受けると思うが、40手前くらいのT刑事さんは、俺に対して敬語を使ってくれた。
留置所から取り調べ室に出るときは手錠をするのだが、取り調べ室に入るといつもその手錠を緩めてくれ、パニック障害を持った俺のために窓を少し開け、水を用意してくれるのだった。
今日の取り調べは実際にどんなことをしたか。
最初に胸をもみ、その後ほにゃほにゃ……と実際の行為の流れを本当にこと細かく聞かれる。これがとてつもなく恥ずかしい。
しかし、T刑事さんはその後どうしたの、と聞くのではなく、最初はキスをした感じですか、その後は首の後ろに手を掛けて……と自分から恥ずかしい内容を話してくれ、俺に確認するといった感じで進めてくれたのだった。
そして、俺の自宅のマンションに家宅捜索が入り、手帳やDVDなどが押収されたとのことだった。
ただ、その場で取り調べが土日はないのと、実況見分が10日以上先の日にちになりそうと聞いて、ああ、俺はそこまでここを出られないのかと初めて知るのだった。
結構絶望的だった。
夕食はご飯、春巻、ナムル、野菜の天ぷらだった。脂濃いものだったのとパニック障害の発作もあって、全く手をつけられなかった。
夜、またN弁護士が来てコピー用紙を差し入れてくれた。
食事のメニューが細かく書かれているのはそのためだ。この日から細かい記録をつけ始めた。
9時に消灯となったが、これまで通りなかなか寝付くことは出来なかった。