逮捕されても前向きに生きるブログ~人生をやり直したい人たちへ~

児童買春で逮捕歴のある初老の冴えない爺さんが社会復帰に挑戦するブログ

週明け、娑婆生活の始まり①

週が変わり月曜日、まだ癒えない傷を背負いながら、俺は車に乗った。

 

今日の外出の目的は二つあった。

一つは罰金の納入、もう一つは警察への挨拶だった。

 

まず銀行に行き、定期の解約をした。

以前にも書いたが、俺は罰金80万の略式命令を受けた。

こまめに積み立てていたのだが、罰金とこれから物入りになる分と合わせて130万、全て下ろした。

 

それから地元の有名なお菓子屋さんに行き、俺がいつも本気の贈り物をするときに買う和菓子を3箱買った。

一つは前に書いた部下へ、そして女の子へ、最後の一つはT刑事さんへだった。

 

俺は勾留されているときから、釈放されたらもう一度この町に来て、護送車で見た町並みを自分の足で歩いてみたい、そして窓からほんの少し見えた光景が、実際にはどんな景色なのか確かめてみたいと思っていた。

 

そして、お世話になったT刑事をはじめ、勾留担当の警察官の人たちに一言お礼を伝えたいと思っていた。

 

もう2度とこんなバカなことはしない。

そう自分に誓うためにも、釈放されてすぐに警察に行きたかったのである。

 

普段は高速を使うのだが、何せ無職の身、金もさほどない。あるのは時間だけ。下道で時間をかけて向かった。

 

そして俺が逮捕された都道府県にある、土地勘のない町のショッピングセンターに併設された郵便局に寄った。

 

解約した銀行でももちろん納入はできた。

そうしなかったのは、裁判所指定の振込用紙で明らかに罰金納付用だとわかるため、地元でそれを使うのは避けたかったからだ。

どこで誰が見ているかわからない。

 

案の定、と言うかそういう目で見ているからそう見えたのかわからないが、見知らぬ町の郵便局員も怪訝そうな表情で、振込用紙とそれに書かれた金額、そして俺の顔に交互に目をやっていた。

罪状がそこに書かれているわけではないのだが、何か恥ずかしくて目を合わせられなかった。

 

下道で来たので、それなりに時間もたっていたのでトイレに寄った。

トイレを出ると、ふと喉の渇きを感じた。

トイレを出たところに自販機がある。

 

普段なら迷わず炭酸ジュースを買うのだが、この日はまじまじと一つ一つの値段を見た。

一番安いのは水か、それでも110円……

 

 

俺は踵を返し、再びトイレに向かった。

そして、洗面台の前に立ち周囲を見渡して誰もいないことを確認すると、蛇口をひねった水を手ですくい、一口、二口とその水をすすった。

 

そのときの俺には、どうしてもその110円が惜しかった。

これからいつまで続くかわからない無職の期間を思うと、無駄づかいは出来なかった。

 

 

 

便所の水を飲む。

 

 

少し前までは部下を引き連れたらふく食わせてやり、全部支払いをしていた俺。

 

 

みじめだった。

 

 

(続く)