前にも書いたように、紹介できる案件はないと言われてから、俺は二つ就職先をアプローチしていた。
一つは風俗。
ネットでよく「男性スタッフ募集」とある、あれにメールなどで問い合わせや面接申し込みをした。
ある程度の稼ぎが欲しかったので、俺が挑戦できるとしたら風俗しかないと思っていた。
地元の割と大手のデリへル数件に送ってみた。
自分は逮捕されたが、何でもやる覚悟はあること、もう一度人生をやり直したいことを誠心誠意綴った。
勝手に、風俗の業界はそういうわけアリの人間が多いだろう、自分をオープンにした方が採用されやすいだろうと考えていた。
見事に、全ての店舗から断りの連絡すらなく、全部完全スルーだった。
50手前、ただでさえ体がキツいと言われる業界だ。避けられたのは想像に難くない。
しかし、無視されるとは思っても見なかった。甘かった。
もう一つはパチンコ屋。
義理の姉、つまり兄の嫁がパチ屋の清掃員で働いていた。
換金所のスタッフがちょうど辞めるのだという。
座って働け、肉体労働でない。
ただ、狭い空間で俺のパニック障害が出ないかだけが心配だった。
兄はパチ屋で働いて欲しかったようだ。
俺が完全に実家に戻って家に入れば安心(主に経済的にだろうが 違ったらごめんよ、兄貴)だ、パチ屋なら家から近いし通えるからだ。
躊躇しているうちに換金所スタッフは決まってしまったのだが、店舗スタッフとして働けないか姉が聞いてくれたところ、まずはアルバイトの面接に来てみないか、と言われたそうだ。
俺はスロットは全くの無知だが、パチンコは大好きだ。今となってはそこで働く抵抗もなかった。
俺はコンビニで履歴書を書い、面接を受けることに決めた。
問題は、この歳で正社員になれるのか?
さすがにずっとアルバイトをするわけにも行かない。保険が整わないとやはり俺の歳では心配だ。
でも、贅沢な要求だろうか。
まあ、ダメもとでまずは聞いてみよう。
釈放後初めての面接は、パチ屋に決まった。