休職中と言えど、社会保険から何割かの給与の支給はあったし、自宅での療養生活であったこと、お金を使う趣味はなかったこと(パチンコや宝くじをする人間は公務員時代の自分には信じられなかった笑)もあり、お金には不自由しないはずだった。
しかし、真帆の店に通うようになり、貸し切りなどという貴族の遊びを覚えるとあれよあれよという間に金はなくなった。
俺は実家にいる時、することはなかったのでそれこそ当てなく地元を歩き回った。
何のためか。
信じられないだろうが、落ちているお金を探して歩いたのだ。
運良く拾えたのが50円だったが、それこそ毎日毎日下を向いて、落ちているお金を探した。
時系列はずれるが、仕事に復帰した時はさすがにお金を拾いに歩く暇はなかったが、食費を削りに削った。
俺はよく外食やコンビニ弁当で済ませていたが、金がなくなってからはご飯にふりかけが基本で、飽きてくると5食パックのインスタントラーメン(無名メーカー)を買ってきた。
もともと朝は食べず、昼は給食があったので、ひもじい思いをしたわけではない。
ただ、真帆に会うためにとにかく切り詰めて金を紡ぐような生活は異常だった。
俺はいつしか1枠で行くことはなくなり、最低でもダブル、基本はトリプルで入るようになった。
店のルールはトリプルから外出可能だったが、俺は真帆の口添えでダブルでも外出させてもらっていた。
二人で水族館に行ったり、ドライブしたり。
真帆が「車を買いたい」と言っていたからディーラーに行って車を見に行ったこともある。
俺はこの「デート」にほとほと疲れ果ててきた。
と同時に、何としても真帆と付き合って結婚できなければダメだと思うようになってきた。
そして、真帆とエッチをしないと割が合わない、そう考えていた。
(つづく)