13:00ごろ、牢屋を出るように言われた。
いつもの身体チェックの後、俺はベストを着用させられた。
紺色で背中がメッシュになっていて、腰縄を通すのがついているやつだ。
ニュースで警察署から出てくる時に容疑者がよく着ているあれだ。
そして手錠。
階段をおり、護送車に乗せられ、両脇を留置所の警官が固める。
重たいシャッターが開き、道を出る。
ここでラッキーなことがあった。
後でわかったことなのだが…
マスコミがいなかったのだ。
よく警察署から護送車に乗るところをカメラで抜かれる。
手慣れた笑犯人は、顔を隠したり下を向いたりしているが、そんなことを知らない初犯の人たちは扉を出て外をキョロキョロ見たらテレビカメラがあって図らずもカメラ目線に……というのがあのニュース映像。
俺の警察署は、扉を出て車に乗るところがシャッターの内側で、カメラが抜けない構造になっていた。
と言っても出てくる車を写せば、真ん中に座る俺はフロントガラス越しに見えるが、マスコミ自体が来ていなかった、という運のよさがあった。
アホみたいにアフィリエイト狙いでこういうニュース動画や画像をネットにアップする輩が多い。(俺も苦しめられるのだが、それは改めて)
動画が出なかったことは本当に助かった。
マスコミはいなかったが、回りに私服刑事がたくさんいた。
要は逃走防止で、そういう決まりになっているのだろう。
俺一人護送するのに、同行する警官を含めて10人以上がお見送りしてくれた笑
逃げようとは思わなかったが、こんなん逃げれん。
たまーに逃走のニュースがあるが、そいつは本当にすごいと思う。
かくして、俺の車は検察庁へ向かった。