そんな意味のない駆け引きをして、警察署へ戻った。
この日は普段ないイベント?が二つあった。
13:00に医者が来て、内科検診があった。
聞くと2週に1度ほど、こうやって医者が留置者全員の健康チェックをするらしく、どこの留置所でもあるそうだ。
と言っても、よぼよぼの爺さんが聴診器をちょっと当てる程度の健診だった。
俺はちょうどこの時持病の皮膚病が悪化していた。2ヶ月に1度注射を打たなければならないのだが、こうやって勾留されていて注射が打てなかった。
付き添いの担当が医者に俺の皮膚の具合を見せ、判断を仰いでいた。
俺は改めて皮膚で病院に行く事になった。
あと一つが署長巡視というイベントだ。
これは以前のブログにも書いたが、週に1度くらい、署長が留置所の各部屋を回って歩くものだ。と言っても牢屋なので、前の廊下を歩いて回り、「お元気ですか」と聞かれるだけなのだが。
元気などあるはずがない。
留置所の前には厳重な鉄の扉があり、それが開いて署長が入ってくると職員が整列して「署長に敬礼!」とやっている。
どこの組織でもこういう馬鹿げた権威を示すだけの行事があるものだ。
「被疑者17名、出場者(検察や裁判所、実地検分などで留置所を出ていること)2名、計15名異常ありません!」と意味のないでかい声で署長に報告していた。
署長もそんなことに関心はなかろうに。
こんなところにいるとだんだん心もすさんで来るような気がしていた。