夕食が終わり、19時40分頃に弁護士のN先生がまた来てくれた。
会社側といろいろ話をしてくれたようで、どうも会社の方は自主退職の形を進めてくれているらしいということだった。
(これは後に崩れることになるのだが…)
この時は懲戒解雇の重大さが全く分かっていなかったので、自主退職だと退職金が出るという程度の知識しかなかった。今の会社は勤めて間もないところだったので、退職金はもともと出るはずもなく、別にどっちでもいいや、と思って聞いていた。
当月分の給料も日割りでくれるとのことで、これは素直に嬉しかった。弁護士費用、場合によっては和解金、そして引っ越しや新しい仕事を見つけるまでの当面の生活費など、これから金のかかることばかりがあるのは分かっていたので、ありがたい配慮だった。
しかし、こんなことを考えていた自分は今になって恥ずかしいと思う。自分のことしか考えていない。会社に一体どれだけ迷惑をかけたのか……情けない限りだ。
そんな情けない俺は、この日は少しホッとして、夜はぐっすり眠ることが出来た。