部屋にいると、警官が覗き
「今日昼から検察に行くから」
と言われた。
警察と検察の違いは言うまでもないかもしれないが、警察は捜査機関、検察は起訴するかどうかを決める場所だ。
と書いている俺もその時はそれほど詳しいわけでもなく、検察に行くという意味もよくわかっていなかった。
暫くするとまた声がかかり、今度は当番弁護士が来てくれた。
1回だけ無料で弁護士を呼べる制度である。
基本、児童買春の初犯で悪質でない場合は罰金刑で済むので弁護士をつける必要はない。50万弱かかるのでもったいない。
ただ、俺は頼りになる身寄りがなく、寮の荷物を1日も早く撤去しないといけないと思っていたので、弁護士にそういうことを頼めるのか聞きたかった。
来たのは小太りの若い弁護士だった。
事件の概要を聞かれ、今後の見通しを教えてもらった。
逮捕されてから72時間以内に警察は容疑者を検察に送る。
そこでまず勾留請求がなされるかどうかが一つ目の分かれ道となる。
たぶんそんなことを聞いたのだが、今でこそ意味はわかるが、当時は理解できなかったし、そんなことはどうでもよかった。
会社に退職の連絡をしてほしい、釈放されたら1秒でも早く荷物を出すから、それまで待ってほしい、そう連絡してくれるか、引っ越しの手配はしてくれるか、そんなことを聞いた。
出来ること、出来ないことはあるが、取り敢えず会社には連絡をしてくれるとのことだった。
俺は正式にこの当番弁護士を俺の弁護士として依頼した。
これが後々、高い出費にはなったが本当によい判断だったと思えることになる。
いつしか昼食の時間となった。
まだまだ食事など食べるどころか見る気にもならず、俺はお茶だけをちびちび飲んでいた。
まだ逮捕されて2日目だが、とてつもなく長い時間に感じられた。