学生時代は暇だ。俺も人並みにバイトはしていたが、時間は腐るほどある。
小人閑居にして不善をなすとはよく言ったものだ。
特に趣味のない俺は、鳴海ちゃんへの思いが募るほどいても立ってもいられなかった。
かと言ってフラれた身。気軽に電話をしたり遊びに誘ったりも出来ない。
グループでスキーツアーに行ったとき、仲間が気を遣って撮ってくれた鳴海ちゃんとのツーショットの写真を毎晩眺めながら悶々としていた。
暇があると、俺は鳴海ちゃんのアパートにスクーターや自転車を走らせた。
そして、鳴海ちゃんの部屋の窓の灯りがついているのを見るとホッとして家に帰っていた。
鳴海ちゃんはとあるサークルに入っていたしバイトもしていたので、俺とは違って忙しい生活を送っていた。
窓の灯りがついていないと俺は心配になり、鳴海ちゃんのアパートの玄関の窓が見えるくらいの遠くから鳴海ちゃんの帰りを待つこともあった。
男と帰ってこず、自転車で一人アパートに帰る鳴海ちゃんを見て安心していた。
鳴海ちゃんは結構遠くの家の家庭教師のバイトもしていたのだが、家庭教師の時間帯に雨が降ってくると俺は心配になり傘を持っていった。
でも、幾ら心配だとはいえ、傘を渡せるほどの偶然を装えるわけもなく、俺は傘をもって雨の中自転車を走らせる鳴海ちゃんを見守るしかなかった。
こう書くと美談だと感じているように思われるかもしれないが、もちろん今ではその気持ち悪さは自分でも十分に理解している。
これが相思相愛なら、彼女思いの優しい彼氏、ということになるのかもしれないが、ただの片思いだ。
鳴海ちゃんの誕生日、俺は指輪を送った。
次の年にはネックレスを送った。
鳴海ちゃんはもらってくれた。
指輪をつけて眺めているなんてことも鳴海ちゃんは言っていた。
今思えばその気もないのにとんでもない女だが苦笑、まあ、女性なんてそんなものだと、これも今なら理解できる。
指輪やネックレスなんて愛の証ではなく、ただのアクセサリーだ。
俺も好きでもない女からもらったプレゼントをその気もないのに身に付けていたこともある。
んんん、
何か書いていて虚しくなってきた笑
つづきはまたにする。