初日目の取り調べは、身辺調書、罪状認否で終わった。
連行される車の中、署に入ってから、それぞれで刑事から聞かれたことに答え、その内容を調書にし、それを読み上げ間違いないか確認、その調書にサインと拇印を押す。
簡単に言うと、それが細切れで続いた。
相手は朝から俺を逮捕するために働いている。
4時くらいに取り調べを終え、俺は留置所に連れていかれた。
留置所と刑事たちがいる場所との間には分厚い鉄の扉があり、出入りするときには大きな声で刑事と留置担当の警官とのやり取りがなされる。
もちろん逃走防止だろう。
俺は中に入った。
まず部屋の中に入れられた。
バスローブのようなものがおいてあり、服を下着も含め全部脱ぎ、そのバスローブみたいなものを羽織るように言われる。
もちろん警官の目の前だ。
そそくさと服を脱ぎ、それに着替えると、床に肩幅くらい間隔のある足形があり、それにあわせて立つように言われる。
素直に従う。
壁に向かって、壁に手をついて立つように言われる。
体に傷はないかなどを確認され、別の警官がメモをとっていく。
多分刺青とかアザとかの情報を収集し、逃走した場合などの「前科者のデータ」を作っているのだと思う。
本当に隅々まで調べられる。
それこそ、よく噂されるケツの穴の中まで見られた。
変なものをケツノ穴に突っ込んで中に持ち込む輩もいるらしい。
もちろん決まりなので仕方ないのだが、ある意味どしろうとの俺が何かを、しかもケツの穴に突っ込んで持ち込むはずもないのだが、この犯罪者扱い(まあ犯罪者なのだが)が、本当に情けなかった。
人としての尊厳と言うかプライドというか、そういうものが太いナイフで削られていく、そんな感覚だった。